切子の愉しさ伝道師

彩り硝子工芸

先代から独立し、「彩り硝子工芸」を亀戸に立ち上げて25年。直営店と工房を併設した異例のスタイルが特徴で、大企業やメディアからのさまざまな要望には柔軟に対応。オーダーメイドの受注と切子の製造体験を強みにしている。

ガラス製品製造・販売
irodori glass

彩り硝子工芸

住所
〒136-0071 江東区亀戸4-19-13サニービル2F
tel
03-5609-3618
fax
03-5609-3618
代表
熊倉 憲二
URL
http://www.edokiriko.com/

これからの切子の在り方とは? 切子の魅力を伝えファンを増やす

東京を代表する伝統工芸のひとつ、江戸切子。その製造の現場を惜しげもなく公開している工房が亀戸にある。「彩り硝子工芸」は店舗と工房が一体化した、江戸切子の世界を間近で知ることができる場所。本職の道具をそのまま使って切子体験をすることができる。

見学したいというニーズは高いが、一方で専門的な作業はただ見ても分からないことが多い。実際に手を動かすことで江戸切子の魅力を伝える切子体験の参加者は、小学生から大人まで幅広く、とくに小中学生の参加者は年間で500名を超える。熊倉代表は「大人も子供も皆楽しいと言ってくれる。江戸切子を語り継ぐ未来の理解者が増えた」と顔をほころばせる。体験では、ただ見て「きれいだね」ではなく自分で作り実感を得ることに重きを置く。どうすれば美しい線が描けるか、そうした気付きからものづくりを始めるきっかけを掴む人もいるという。

切子の製造下請けを生業としていたものの、バブル崩壊により状況は一変。多くの職人は問屋を頼りに生産を続けたが、さまざまな外部環境の変化によって問屋だけを頼りにできなくなっていった。そんな中、バブル崩壊後の切子の在り方を考え開業したのが彩り硝子工芸。直営店をもつことで消費者の声をダイレクトに取り入れることができるのは、当時の職人にとってこれまでにない強みだった。ある種、商売の原点に立ち戻ってダイレクトにお客様と繋がり、工房を訪ねる人々の声とともに事業活動を広げていったのだ。

「チャレンジには手段を選ばない」 難しいオーダーにも柔軟に対応

消費者の声や新しいアイデアは積極的に取り入れる。オーダーメイドで作った桜柄の風鈴は期待以上に好評で、国土交通省のコンテストにおいて職人部門金賞を受賞し、国内の主要な空港で販売されることとなった。他にもパソコンケースや骨壷を切子で作ったり、あるいは伝統工芸のコラボレーションとしてラタンや漆を使ったり、チャレンジに際しては手段を選ばない。「ビジネスチャンスはお客様のほうにある」と言う熊倉代表。新しいもの好きな性分も相まって、「こんなことはできないか」と日々寄せられる特注の問い合わせにも喜んで挑戦している。

当初は「前例がない」と資金調達さえ断られることも少なくなかったが、今では前例がないことへのチャレンジこそがアドバンテージになる。新しい江戸切子の在り方が、この工房から提案されようとしている。