「Noと言わない」なんとかやってやる精神
錆びにくく、安定性や強度に優れ、美しい素材の一つであるステンレス。カトラリーや鍋、シンクといった身の回りのものから、手すりや門扉などさまざまな用途に使われている。「使い勝手も良く、メリットの多い素材ですが、非常に高価だったことから、鉄工所で取り扱うところは少なかったのです」と振り返るのは、伴田社長。1970年、先代が大阪万博のスカンジナビア館のステンレス製手すりを製作したことをきっかけに、手すりをはじめハシゴや柵、門扉などステンレス製品に特化したものづくりを始めた。
現地調査から設計、製作、取付、メンテナンスまでをフルサポート。「完全オーダーメイド」で企業のみならず、個人のお客様からの細かなニーズをしっかりフォローしている。伴田鉄工所では「ここに手すりをつけて欲しい」「こんな門扉が欲しい」など大まかな要望や図案でも対応。「『これは難しいね』という選択肢はない。『なんとかやってやろう』という思いが先に来るんですよ」と、伴田社長は前向きなチャレンジャーの顔を見せる。
緻密な職人技術で新たなアイデアを形に
お客様からオーダーを受けると、その要望や場所に合わせ、最適な材料を選び出し、CAD(コンピュータ設計)で図面を起こす。それを元に作業場で製品を製造し、搬入・取付まで一手に引き受ける。一般住宅用の螺旋階段は、全国でも製作するところがあまりない看板製品。「通常はすべて組み立てて、クレーンで吊り下げて取り付けるもの。当社のように、部品単位で搬入して、その場で溶接・取付を行うところはほとんどない。しかもそれにはステンレスの特性を理解した上で、寸法から取付の順番まで計算しなくてはならないんです」。図面から寸分狂わぬほど緻密な仕上げを行う職人たちがいるからこそ、なせる技だ。
最近では、盗難防止のため一つひとつ構造の異なる「からくり賽銭箱」がヒット。各地の神社仏閣やお地蔵さま、道祖神を祀るところから注文が寄せられている。また、新製品としてステンレス製のスピーカーを開発。硬質でクリアな音色を実現している。これまで培ってきた経験による緻密なものづくりと、新たなアイデアを形にするアソビゴコロで、ますます多様化するニーズに応え続けている。