木材問屋から木材総合企業へ。革新を恐れないDNA
約1世紀もの長い歴史を持つ、長谷萬グループ。木材の調達から加工・販売、建築施工まで一貫して行える企業は、全国的にも数少ない。事業を継続できた理由は、変化を恐れない社風にあると話す長谷川社長。木場の木材問屋として創業し、現在も事業を拡大しながら、木材を建築用構造材に加工・組立して販売するプレカット事業も精力的に行っている。更に木造住宅の建設施工や木質化リフォームなど木に関わる建設業も行い、時代の要請に合わせて革新を遂げた。都心近接地に本社を置くことで、消費者のニーズを素早くとらえられたことも大きい。
現在、月に住宅約200棟分の構造材の加工を手がける同社。自社工場では、日々改善活動を行い、人材育成と組織力の強化に力を注ぎ、最高品質の製品を生み出している。工場内で加工された部材を、建設現場で組み上げる時間はわずか一日程度。接合部の断面をチェックして隙間や狂いがないか精密な精度確認を行っているため、大工さんから高い評価を得ている。強度や寸法安定性の高さで注目される金物工法(接合部が金具となる工法)の加工にも取り組み、公共施設や宿泊施設といった特殊木造建築でも実績を重ねている。
「木育」を通して、持続可能な社会をつくりたい
家具や床材に本物の木ではなく木目調シートが使われたり、木のおもちゃが少なくなったりと、本物の木に触れる機会が減っている現状。本物の木に触れその温もりを感じてもらい生活の質を向上させていく必要性を感じ、2015年に「木育」活動をスタート。2017年には「木育」の更なる展開を目指し、木の普及活動と研究を行う「もくラボ」を立ち上げた。「もくラボ」では、木工教室や犬小屋作りを通した大工体験イベントの開催、おもちゃや、家具、生活用品、アロマオイル等のヘルスケア商品などの木製品の開発や販売を行い、木の力を広く伝えている。
その他にも、CSR活動の一環として、江ノ島でゴミ拾い活動をしているNPO法人「海さくら」をバックアップ。海の環境改善は川や街、更に水源となる森の環境にも繋がることから活動の支援を始めた。現在は長谷川社長自身が代表を務めるNPO法人「深川海さくら」を立ち上げ、深川のゴミ拾いを通じて、海、山の自然環境を守る活動を行っている。サステイナブルな(持続可能な)資源である木材を広く大きな視点でとらえ、正しく活用していくことにより、人と自然に優しい豊かな社会を築き上げていこうとしている同社の活動に注目したい。