突出した木材調達ネットワークと、ツキ板に命を吹き込む加工技術
北三の主力製品である「ツキ板」は、天然木の美しい木目を見出し、厚み僅か0.2mmという極薄にスライスした化粧板。木の温かみを表現できる素材として、建築や車両内装、家具や楽器など多方面に採用されている。薄くスライスすることで、一本の木を大切に使えるツキ板。安定した基材に貼ることで、反りや割れもなく、色付けや変形といった加工が容易であることも大きな特徴だ。
同社の強みは、加工前の木材を調達するネットワーク力。各国の産地に社員が飛び、世界中の木材の品質をその目で確かめてきた。長年、現地との関係性を密に築いてきたことで、希少性の高い木材の発注にも対応できる。さらに、扱える木材が豊富であるゆえに、木目のバリエーションも幅が広い。デザイナーのイメージに可能な限り近付けられる高い提案力も、同社への信頼感につながっている。2017年3月には、新木場にショールームがリニューアルオープン。世界各国の銘木の美しさ、機能性をもつ製品や多彩な採用実績をじかに確かめることができる。
もうひとつ、忘れてはならないのが高い加工技術。ツキ板の製造には繊細な取り扱いが求められ、色付けなど、お客様に合わせた加工も熟練の技術が必要とされる。さらに、ツキ板は、防火性や耐久性の高い材質に貼り合わせることで、新たな力が備わる。接着剤開発をはじめとした貼り合わせの技術を磨き続け、自社製品「サンフット」を開発。ツキ板が活躍できる領域の大幅な拡大に繋がった。
本物が求められる場面にふさわしい、木の持つ味わいを伝えたい
近年は、JR九州の高級寝台列車「ななつ星」の内装、トヨタ「レクサス」のインストルメントパネルやハンドルなど、超一流の場面で採用される同社のツキ板。「木にはロマンがあります。これからも、心を和ませる場面に使われるよう自社の技術を磨き、本物の良さを伝えたい」尾山社長の言葉どおり、木目プリントでは表現しえない経年の味わい深さ、そして、天然木の持つぬくもりを届ける北三のプロダクトが、人々の心を豊かに満たしていく。