耐熱カメラは省エネ・効率化の影なる立役者
近年、製造分野は技術の高度化・効率化・省エネ化が進んでいる。その影なる立役者となっているのが、セキュリティージャパンが製造する「ファーネスコープⓇ」をはじめとする炉内監視耐熱カメラだ。ガラスや製鋼、自動車、樹脂、半導体など、さまざまな分野の製造工程に欠かせないのが高温炉。製品の高性能化には、工程の初期段階から緻密なモニタリングと品質管理が要求される。
そこで活躍するのが、炉内監視耐熱カメラ。平均1200〜1600℃もの高温環境でも高精細CCDカメラによるモニタリングが可能となり、精密な工程・品質管理を実現している。また、炉内の燃焼状態や熱分布、対象物の温度などを監視・モニタリングすることで、燃焼効率を高め、省エネ・省力化も実現。環境配慮が企業にとって大きな命題となる中、そのニーズはますます高まっている。
「高温炉の可視化」が製品クオリティ向上のカギ
「かつて高温炉内はブラックボックス化し、その温度管理は職人の肌感覚によるものが大きかった」と話す代下川社長は、1983年に同社を創業。旭硝子との共同プロジェクトによりCCDカメラを応用化、過酷な高温炉内でも耐えうる冷却水と冷却エアーの三重構造でCCDカメラの周囲を40度程度に保つ耐熱ジャケットを開発。1996年に特許を取り、2009年には東京都ベンチャー技術大賞奨励賞を受賞。ハイビジョンを超える500万画素タイプのカメラや燃えさかる炎越しに対象物を映し出すカメラなど、他に類を見ない製品作りを続けてきた。「精密なものづくりには、高い解像度でモニタリングできるというのが必須。時代の要請とも言える」。
大手自動車メーカーや鉄鋼メーカー、電力会社などさまざまな企業のニーズに応える中で培われた技術力と信頼により、現在では中国やインド、タイ、インドネシアをはじめ新興国の新規事業展開や発電所稼働を受け、海外でも売上を伸長しつづけている。また、会社や大学の研究所など、研究開発の場への納入も多い。製品の高性能化を実現するにあたり、製造プロセスをより最適化し、効率化することがどの分野においても求められる中、セキュリティージャパンが続けてきた「高温炉内の可視化」の担う役割は大きい。