通信機器の守り神

ヤマト通信工業株式会社

1963年の設立時は電話局内の通信機材類を販売していたが、電電公社の民営化を機に事業転換。現在はセミオーダーメイドでサーバー等のシステムラックの製造に取り組む。建築設計からの消火・耐震ノウハウを取り入れるなど、堅牢性の追求には他の追随を許さない。

通信機器の設計・製造・販売
Yamato Tsushin Kogyo

ヤマト通信工業株式会社

住所
〒135-0024 江東区清澄3-5-2
tel
03-3642-0888
fax
03-3643-3794
代表
渡邊 和恵
URL
https://www.yamato-t.co.jp/

耐震実験済み! BCP対策万全のシステムラックを製造・販売

情報通信が社会インフラの一つとなった現代、サーバーの管理体制は企業における命綱とも言える。ヤマト通信工業のシステムラックはBCP対策の観点でさまざまな工夫を凝らしている。

例えば、セキュリティ面では内部からの情報漏洩に対してサーバー室だけでなくラック自体に生体認証を設置し履歴を残すことを抑止力にした。また、首都圏直下型地震など大地震が予測される日本において地震対策は不可欠。架台や免震装置は国の耐震基準に照らし合わせて作られ、いずれも耐震試験場で実証済みである。加えて震災時の二次災害を想定し、消火設備付きのラックもメーカーと協働して開発した。

顧客とともにサーバー周りのあらゆる課題解決に取り組む

ヤマト通信工業の特徴は、個々に異なるサーバー周りの課題を顧客とともに解決することにある。床下の配管を避けて耐震用のアンカーをどう打つか検討したり、本来ならサーバーの問題である騒音を、ラックに消音機能を設けることで解決したりもしてきた。

顧客は都心や大都市圏に集中しており、テナントビルの中にサーバーラックを設置することも珍しくない。しかしサーバーの冷却にクーラーを設置するには屋上の室外機との接続などで莫大な費用がかかってしまう。そのため、冷却装置を付随させたサーバーラックを開発し好評を博している。顧客はニーズや施策の重要度に応じて最適な機能や製品を選ぶことができる。

情報だけでなく人も「守ります」。江東区から発信し続ける防災意識

2013年頃からヤマト通信工業は「私たちは守ります」を経営理念に掲げている。それは情報の入ったサーバーや品質を守っているということに留まらない。清澄庭園の向かいにある本社はもともと創業者の住居があった場所で、創業者もこの場所で関東大震災の際に、清澄庭園に駆け込んだため助かったという。

近年は自社の板金技術を活かし、スチール製の防災ベンチ開発にも取り組む。「防災用品を倉庫や押入れの奥にしまうのではなく、いつでも取り出せる場所に置いてほしい」という思いからベンチ型にした。家屋が倒壊した場合を考え、1tの荷重にも耐えられるつくりになっている。

また、保育園などにも安心して設置できるよう、同じく江東ブランド認定企業の長谷萬と協業して木目調の防災ベンチ作りにも挑戦している。この土地だから発信できる防災のあり方を考え、ヤマト通信工業は人々を守る企業であり続ける。