すべてが特注オーダーメイド。ガラス業界を支える職人肌
「私たちは、お客様の目的に合わせた機械を製造するだけでなく、小型化や単純化ができないか常に工夫を凝らしています。」中村鉄工ガラス機工の強みは、お客様の要望をじっくり聴き、世界に一台の機械をつくりあげられること。特に、一部分で人の感覚を必要とする「半自動機」の製造と修理にかけて、右に出る者はない。既存の機械を改良したり、他業種で使われる機械を改造したりと、中村社長の柔軟なアイデアが生かされ、全自動機と比べ、格段に低コストの機械を提供できる。
現在、ガラス業界を構成するすべての分野に通じ、業界大手から個人のクリエイターまで幅広くつながりを持つ同社。世界の名工に指定されているガラス作家や、宮内庁御用達の製品をつくるガラスメーカーの道具も手がけ、全国にファンがいる。
「人の温かさ」に恩返し。頼まれたら何とかしたくなる
中村鉄工ガラス機工は、きめ細かで迅速な修理体制でも知られている。図面など存在しない機械も多い中、鍛冶屋として腕をふるった初代から受け継がれる技術を生かし、機械と名の付くものはほとんど修理してきた。特に、故障の原因究明には力を入れ、この先の使い方までアドバイスするなど、手厚くサポートしている。
機械の故障によるビジネスチャンス損失を防ぐべく、近隣でのトラブルにはすぐに対応するなど、長年、地域のサポートに徹してきた同社。「工場兼自宅がもらい火で失われたとき、周囲の方に助けられて事業を続けられた。再建して3年目。
今、その恩返しをしているところです」。長年、地域の困りごとを解決してきた社長への、温かな地元の支えがあったのだ。そして、苦境を支えてくれたガラス業界にも感謝し、自社にできることを発信して業界を底上げしたいと考えていた中村社長。思いが縁を引き寄せ、近い未来、ガラス用の機械や工具、作家のガラス製品などを集めたショールームを開く予定だ。多くの方にガラスの魅力を伝え、ガラス業界を盛り上げたいという心持ちで、今日も誰かの役に立つべく腕を振るう。