着たときに 違い伝わる縫製技術

株式会社エイ・アイプランニング

1962年創業の縫製メーカー。もとは和裁を生業としていたが、洋装が普及する時流に合わせて洋裁を手掛けるようになった。生地を裁断し縫製、検品までを一貫して行い、百貨店に並ぶセレクトショップや有名デザイナーズブランドから厚い信頼を得ている。

洋服の企画・製造
AI Planning.co.,ltd

株式会社エイ・アイプランニング

住所
〒135-0072 江東区大島7-4-14
tel
03-3681-4096
fax
03-3685-9209
代表
新井 幸久
URL
https://aip-japan.localinfo.jp/

高度経済成長期から続く縫製メーカー、他の追随を許さない繊細な縫製が強み

浅草橋の問屋街が近い両国から大島にかけての一帯は、昔から繊維業が盛んだった。家の窓からミシンの音が響いていたのも今は昔、2000年代半ばに海外での生産が主流になると、国内生産の需要は激減した。今や、大島で縫製を生業とするのはエイ・アイプランニングを含めても数えるほどしかない。
時代に合わせてさまざまな洋服を仕立ててきたが、近年注文が多いのはシルク、サテン、ストレッチなどを素材とする軽衣料。縫う際に歪みやすいのに加え、バイアススカートなどの場合、縫い目にしわが寄りやすい。エイ・アイプランニングでは、生地を見ながら一着ずつ伸ばし方を加減し、しわが寄らないよう縫い方を調整することができる。手作業の丁寧さと積年の技術継承の賜物だ。
もっとも、安い仕事ではない。しかし、より安価な業者に鞍替えを試みたブランドは大抵同社に戻ってくるという。これだけの繊細な縫製技術は、どこでも再現できるものではない。

メイドインジャパンの技術力は業界外、そして海外へ羽ばたく

エイ・アイプランニングはこれまで一貫して「品質と納期」にこだわり、国内拠点のみで製造を続けてきた。
たとえば、7月にヒットした夏物衣料を追加生産する場合、海外だと1〜2ヶ月は要するため、旬が過ぎてしまう。同社なら最短2週間で追加納品が可能なため、トレンドにも間に合う。また、品質担保の観点からも目の行き届く国内生産を選択してきた。「こだわった縫製が実現しているのは、日本人ならではの細やかさも影響しているように思います」と新井専務は語る。
2021年からは、大妻女子大学との産学連携ブランド「m_r tokyo(マール・トウキョウ)」を始動。学生がマーケティングや企画を担当し、エイ・アイプランニングが技術力を提供することで、国内縫製の技術や文化を若い世代へ広める。また、インフルエンサーのファッションブランドづくりにも協力しており、同社の技術力は業界外にも知れ渡りつつある。生産体制は国内にこだわる同社だが、今後の目標は「当社の商品が海外で手に取られること」。ターゲットは体型や文化が近いアジア圏、なかでも中国からはすでに「メイドインジャパン」を求める多くのバイヤーが日本に訪れている。「受け身だけでなく、能動的にメイドインジャパンを仕掛けていきたい」。エイ・アイプランニングの快進撃に期待が高まる。