職人仕事の継承と革新のためにレシピを明文化、勉強会も実施
ライカの靴クリーム類は全て職人の手作業で作られている。同社の製品が年間を通じて安定した品質を保っているのは、湿度や温度に応じた配合の微調整を行っているため。それでいて価格は手頃で、気軽に手に取ってもらいやすいのがライカの靴クリームの魅力だ。
また、手作業の製造体制のため、OEM商品の製造も100点単位から対応している。パッケージラベルのみならず、保湿やツヤ出しなどの成分比率、香りなどを要望に合わせて調整する。96年にわたり皮革のケアに携わる同社製品への信頼は厚い。
長らく職人の経験と勘を頼りに製造を続けてきたが、それだけでは世代を超えた技術継承や品質の維持は難しい。そこで、引退した技術者を社外より招き、勉強会を開いて再び知識や技術の定着に取り組んだ。現在では基礎となるレシピ・配合を明文化して、技術の共有と継承、そして製品の改良に活かしている。
皮革のプロが本気で作った野球グラブケア用品「FORTUNE FIELD」
OEMでの注文をきっかけに、3年前には社員の提案から野球グラブ等のケア用品ブランド「FORTUNE FIELD」を自社で立ち上げた。基本的な配合は靴のケア用品と同じだが、靴の場合は汚れ防止に重きを置くのに対し、野球用品は汚れることが前提なので、汚れを落としながら長持ちさせることを意識している。
これまでにもグラブやミットのケア用品は大手スポーツブランドなどが販売していたが、「革のプロである老舗靴クリームメーカーのグラブケア用品」という触れ込みは強烈なインパクトを持って迎えられた。実際に使用したユーザーからの反響も高く、さらにYouTuberに動画での紹介を依頼したことで注文や問い合わせは急増した。
シューケアを基軸に、次の100年に向けて事業の成長を目指す
近年は野球業界から注目を集めているが、あくまで「シューケアがメイン」というのが同社の方針。革靴人口が減りつつある昨今、新たな一手としてスニーカーシャンプーの販売を始めた。スニーカーケアの需要が高まるか、革靴の復権か。「市場の動向を注視しながらシューケア事業を成長させたい」と福原専務は語る。
一方で、江東区内で新たな事業を展開する皮革製品の事業者とのコラボレーションにも期待を込める。100年近く育んできた技術を活かし、次の100年に向けて新たな挑戦が始まる。