ホウロウを愛し ホウロウに愛されて

野田琺瑯 株式会社

1934年創業。当初は海外向け家庭用琺瑯商品などを製造。戦後、野田琺瑯株式会社として操業を再開し、家庭用品や衛生用品、理科学用品などを製造。自社工場で鋼板の成型から焼成までを一貫して熟練の職人たちが担う。2013年には「ホワイトシリーズ」が『グッドデザイン・ロングライフデザイン賞』を受賞。

ホウロウ製品製造販売
Noda Horo

野田琺瑯 株式会社

住所
〒136-0073 江東区北砂3-22-22
tel
03-3640-5511
fax
03-3640-5507
代表
野田 靖智
URL
http://www.nodahoro.com

唯一の国内一貫生産メーカー

かつては70社を超えたという琺瑯製造メーカーも、人々の暮らしの様式が移り変わり、海外へ生産拠点を移したり、規模を縮小したり、廃業を余儀なくされる中、国内で唯一、鋼板の成型から焼成まで一貫生産を行うのはこの野田琺瑯1社となった。「昔は琺瑯用品といえば、婚礼祝いに誰かから贈られるものだったけど、今は、自分が本当に欲しいと思うものを自分で選ぶようになりました。だからこそ、少量ずつでも多品種生産を心がけています」と話すのは、野田浩一会長。自ら試作品を自宅で使い、納得したものを製品化するという。

人気の「ホワイトシリーズ」が誕生したのは2003年。夫人である善子氏の、シンプルな冷蔵庫用の蓋付き容器が欲しいという願いから、白く四角い保存容器が生まれた。冷蔵庫のスペースを無駄なく有効利用し、使い勝手の良いシンプルな容器は、著名料理研究家やフードスタイリストなどプロから熱い支持を集め、雑誌や著書などに取り上げられ大きな話題に。改めて琺瑯用品の良さが見直され、毎日の暮らしのさまざまなシーンに活用されるようになった。

真っ白な琺瑯は高い品質の証

抜かりない手仕事によって作られる琺瑯は、高い品質を誇る。元になる鋼板をプレス機にかけて型取り、きれいに洗浄した後、一つひとつ丁寧にガラス質の下釉薬を施していく。一旦乾燥させ、焼成してからさらに上釉薬を施し、ムラなく乾燥させた後、焼成、徐冷させることで、どこか温かみのあるホワイトシリーズが完成する。

琺瑯の素地は鉄(鋼板)のため熱伝導が良く、直火にかけたり、蒸したり、オーブンに入れたり、調理用具として使うことができる。もちろん、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存して、そのまま器として食卓に出すことも可能。何役もこなす使い勝手の良さは、多忙な現代人にこそ心強い味方となっている。「最近ではSNS(ネット)に写真を公開して、食卓の様子をシェアする方も多いですね。本当に気に入ったものだからこそ、紹介していただいているのだと感じます」と野田靖智社長。乳白色の器は食卓に映え、料理を一層美味しそうに見せてくれる。野田琺瑯が追求する「機能美」は、これからも私たちの暮らしをより豊かなものにする。