丈夫で長持ち。一人前になったら履きたい一足
伊藤ウロコがつくりだす長靴の特徴は、丈夫で長持ち、滑りにくく安全で、履きやすく疲れにくいという3つに集約される。特にこだわっているのは、ソールの耐久性。特殊な金型でつくられた空洞のないソールは丈夫で、10年、20年と履き続ける人、履き替え時も同じ長靴を求めるリピーターは後を絶たない。
耐久性へのこだわりは「靴底を空洞にして軽量化やコストダウンを図ることで、市場で働く人の仕事を妨げてはいけない」という三代目の信念でより強まった。一分一秒を争う仕事人からの信頼は厚く、市場の中でも「一人前になったら履きたい長靴」というブランドが確立されている。同社のゴム長靴は手張りのハンドメイド。現在も、白底付のシリーズは一日に20足ほどの生産と貴重な製品だ。
市場の仕事人と一緒に育ててきた、プロによるプロのための長靴
長靴の性能を支えるのは、お客様の声を的確に掴む力と、お客様の声を反映する商品設計力だ。まず、店頭で交わされるお客様との会話から、実際に長靴が使われる現場を観察する。重要なのは、理屈ではなくお客様の感覚。「お客様が本当にほしいものはなにか」を見極めて独自の製造工程に落とし込む。そのうえでゴムの調合や糊の配合、ゴムの厚みに工夫を凝らし、再び現場・市場で実験を重ねて改良している。長年培われてきた仕様を大切にしながら、今、求められている長靴を設計するのだ。水に強いもの、魚の脂でも滑りにくいもの、寒さに強いものなど約20種類の長靴を、お客様とともに育ててきた。リピーターの多さが、その快適性を証明している。
高機能・高品質の長靴が活躍の場を広げる
高品質な長靴は一般ユーザーにも知られ、市場を飛び出して活躍中だ。雨模様や寒さ対策にも使いやすく、水産業以外でも、農家や畜産業、釣りをはじめとしたアウトドアを楽しむ人々から熱烈な支持を受けている。2017年度には、ツートンカラーが目を惹く「ウロコ印白底付大長」がグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。昭和28年頃につくられたまさにロングライフデザインだが、印象的な逆三角形の「ウロコ印」がフロントに輝き、今なお新鮮に感じられる。独自のカッティングと3センチヒールが履く人の足元をすらりと長く美しく見せ、ファッションアイテムとしても注目を集めている。
築地市場時代から、増加する一般客向けのお土産品にも力を入れてきた同社。はじまりの地、日本橋魚河岸から築地市場、そして豊洲市場への移転を機に、江東区との縁も深め、豊洲市場や江東区のPRにもよりいっそう力を入れていく。