マグネットシート一筋、パイオニアでありトップランナー
従来、磁石といえば黒くて硬いものと認識されてきたが、マグネットシートの登場によってその概念は大きく覆された。マグネット関連企業の中でも老舗のニチレイマグネットはマグネットシートのトップシェアを誇り、ノベルティのマグネットステッカーに関しては年間約1億枚を製造している。
「マグネットのある生活を」磁性材や内装ボードまで製造販売
マグネットには鉄板が必要、それは積年の課題でもあった。そこでは磁性材の開発にも取り組んでいる。スチール箔とコート紙を貼り合わせたスチールペーパーは、紙の特性を残しつつもマグネットが貼れる。何度でも貼って剥がせる磁石絵本の誕生で、学習教材に広がりが生まれた。一方、壁紙の下にアイアンシートを挟み込み磁石で掲示物が張り出せるようになったことは、画鋲の使えない養護学校や介護施設などで大いに喜ばれている。
近年、私たちを取り巻く住環境は大きく様変わりした。戸建てよりも集合住宅が主流となり、容易に改装や改築ができない。共働きや習い事で家族が揃う時間が限られる中、情報伝達やコミュニケーションの場としてリビング・ダイニングがより大きな役割を担うようになった。マグネットを使った棚やインテリア雑貨、磁石が付く内装ボードは壁を傷つけることなくデザインを変えたりメモが貼れると好評で、コミュニティサイトではユーザーからのDIYレポートも飛び交っている。
2時間で作れるディスプレイ?ショーウィンドウの常識を変えた
商業施設のショーウィンドウでもマグネットは活躍している。かつて、季節ごとにディスプレイを変えるのは大仕事だった。ところがマグネットを使えばフックの設置に釘は不要、壁紙だって何度でも貼り直せる。スチールのパーテーションにパチパチと貼り付けていけば、ものの2時間もあれば新しいデザインに差し替えることが可能だ。会期中のレイアウト変更も店舗スタッフ自身が対応できる手軽さ。閉店後の百貨店に終電ギリギリまで大工や内装業者が工具を振るい続けるシーンが無くなるかもしれない。マグネットシートがもつ可能性を約半世紀にわたり発信し続けてきたニチレイマグネットの「マグネットで社会を変える」という野望は徐々に現実味を帯びてきた。