「黒い黒」の自動車補修用塗料が原点。樹脂技術を応用し事業領域を拡大
昭和初期、日本を走る車は黒塗りの輸入車が大半を占めていた。当然、キズなどの補修には同じ色の塗料を使いたいものだが、当時の日本の技術では海外メーカーのような漆黒の黒、いわば真っ黒な「黒」を再現できないことが課題となっていた。これに対し、ロックペイントは高品質な黒色塗料「ゼットブラック」の開発に成功。これが、ロックペイントの原点である。
同社はその後も、高い技術力を礎に事業領域を多角的に拡大。現在では、車両用塗料、建築用塗料、工業用塗料、家庭用塗料など幅広い分野で製品を提供する。さらには塗料のみに留まらず、塗料製造で培った樹脂合成技術を応用したラミネート用接着剤の分野にも進出している。たとえば、スナック菓子の袋は異なるフィルムを何層か貼り合わせてできているが、それらのフィルムを貼り合わせるのにロックペイント
の接着剤が活躍している。
アップサイクルの「出口」を示すことで消費者の意識に働きかける
ロックペイントは環境問題に着目し、廃棄物を新たな価値を持つ素材へと生まれ変わらせるアップサイクルに取り組んでいる。食品加工で廃棄される貝殻や食品の端材、過剰な繁殖が問題視される竹などを塗料に練り込む。繊維や粒子を「個性」とし、廃棄物が新たな製品に生まれ変わるプロセスを可視化することでアップサイクルの「出口」を示している点がポイントだ。
この取り組みは、単に廃棄物を減らすだけでなく、地域経済の活性化にも貢献する。各地域で発生する廃棄物をご当地ならではの塗料として循環させれば、地域の新たな文化醸成にもつながるだろう。
塗料メーカーが教えてくれる、「塗ること」「補修すること」の価値
アップサイクル塗料は、実は高い機能性も兼ね備えている。塗料に加える貝殻の粒子を粗くすることで、漁港などの水場や雨天時に滑りやすい公共スペースの床材などに塗布すると滑り止めとしての機能を果たす。
単なる環境配慮に留まらず、地域社会の安全や快適性の向上といった、より本質的な課題解決を追求するロックペイント。大阪では、地元の学校の社会科見学の受け入れや、子供向けの職業体験イベントへの出展などを積極的に行い、「塗る」ことの楽しさや物を「補修する」という発想に触れる機会を提供している。江東ブランドに認定された今後は、東京での社会活動にも期待が高まる。
