人々が安心できる環境、衛生的な暮らしを守る使命を負う
主力事業のひとつは、ポンプの設計・施工・保守・メンテナンスを行う揚排水設備事業。区域の多くが埋め立て地である江東区にとっても、なくてはならない業務だ。ゲリラ豪雨や台風などによる冠水を防ぐ、大型の雨水排水ポンプや、上・下水道処理プラント、発電プラントなどの給水・空調用ポンプにいたるまで、宇都宮工業は一気通貫して受注できる。
そして、下水をきれいにする水処理事業。下水道に流れ込んだ汚水を適正に処理し、自然界に戻していくプラントに関する業務を、一貫して担っている。飲食店等の排水に含まれる油脂系汚泥を燃料化する再利用システムの構築、水処理施設の機能に障害を及ぼす油分の多い物質「スカム」の除去装置の開発から保守までを行う。
同社の強みは、装置の省エネ性を追求していること。人力業務の自動化を実現し、ポンプにかかる電力も低減。その創意工夫は高く評価され、近年大型案件の受注に成功している。
「社員がブランド」。元気な社員と描く大きな夢
過酷な環境下にある汚水処理の現場。業界全体が人手不足に悩む中、新卒の若者や女性社員が毎年のように入社している。人材に恵まれる秘訣は、宇都宮社長が注力する人材育成と社員が夢を持てるチャレンジングな事業内容にありそうだ。
「本当は、江東ブランドに選んでいただきたいのは、うちの社員なんです」社長は真剣にそう話す。人々が安心して暮らせる衛生的な街と自然環境を守る、という使命を持ち、若い社員が活躍する同社。明るく働く社員の姿は外部からも注目を集め、社長が社員教育をテーマにした講演を頼まれるほど。
社員のチャレンジ精神を育む宇都宮工業の夢。欧米各都市への自社プラントを納入すること。さらにブラジルへの視察を通じ、自社の技術が世界に通用することを確信。世界最大の熱帯雨林を抱えるブラジルの環境を守るという夢に向け、JICAのプロジェクト採択へとチャレンジを続けている。