生かすこと つなぐこと

ジュエリーサショウ

1912年、辰巳芸者の帯留め・かんざしを作る金工として創業。1985年に高橋商店街に店舗を構えてからは地域の宝飾店として愛されてきた。三代目の真一氏は鋳金、鍛金、彫金の全てを手掛ける傍ら高橋商店街の理事長も務め、地域活性にも尽力している。

貴金属の修理・加工・販売
Jewelry Sashou

ジュエリーサショウ

住所
〒135-0005 江東区高橋14-21
tel
03-3632-5233
fax
03-3632-5233
代表
佐生 真一
URL
https://www.sashou.jp/

外での修業を経て家業を継承。時代とともに様変わりする客層

jewelry reform & shop SASHOUを営む佐生真一氏は、18歳からロウを利用した鋳造方法の一種であるロストワックスの第一人者、故・斎藤信男氏のもとで修行を積んだ。折しも時代はシルバーブーム、師の下で学びながら蝋型の原型師として実践的な修行を重ねる日々は刺激的で、今につながる技術も得られたと当時を振り返る。
30歳からは家業に戻り、三代目として仕事をするようになった。初代は帯どめやかんざし、二代目はニーズに合ったジュエリー製作をし、地域密着型でありつつ、デパートの加工や卸など、幅を増やしてきた。
最近はジュエリーの修理を行う職人が減っていることから、修理の依頼や相談が全国から寄せられる。佐生氏はオリジナル作品の発表も続ける傍ら、店舗での修理加工を事業の中心に位置付け、SNSなどを駆使して技術を発信している。

リメイクに大切なのは「素直に受け止めること」

店舗にはさまざまな修理、リメイクの相談が来る。母の形見である金の入れ歯を指輪に変えたいという依頼や、両親から譲り受けた結婚指輪を自分たちの結婚指輪にしたいという依頼もある。
佐生氏は「ニュートラルに捉えること」を大切にしている。情に振り回されるとプロとして適切なアドバイスができなくなってしまう。無理をせず、来た物に対して素直に対応することを心がけているという。
素材の良さを最大限に引き出し、身につける方に最良のものを提供できることは佐生氏の何よりの強み。「2つとして同じ依頼がないリフォーム・修理という分野で、20年近く途切れず手を動かし続けてきた職人は多くない」と佐生氏は自負する。

下町で育まれた伝統技術は大舞台でも注目を集める

約10年前にはミュージカルの装飾品を制作。それを発端に、帝国劇場などでも装飾品の依頼を受注した。短期間での嵐のような作りこみの中、現場の熱気や一体感は他にないもので「職人としてごほうびのような仕事だった」と振り返る。他にもANNA SUIのプロモーションや映画『ルパンの娘』など、大舞台でも佐生氏の技術は認められている。
店舗の奥の工房から響く、佐生氏のヤスリの心地良い音。「ヤスリの音を子守唄に育ってきた。聞くと眠くなっちゃう」と笑う。佐生氏にとって工房は昔から生活の一部で、父から受け継いだ金槌には幼き佐生氏が貼ったアニメシールが残っている。佐生氏の工房からは今日も下町の生活音が鳴り響く。