特殊印刷業態の特殊部隊

株式会社 特殊阿部製版所

紙以外のものに印刷をする特殊印刷専門の版を製造。当初は金属チューブに印刷する版をエッチングで製造していたが、徐々に幅広い対象・素材を手掛けるように。現在は「ホットスタンプ」「ドライオフセット印刷」「パッド印刷」の3分野に精通する、特殊印刷の技術集団。

特殊製版・関連資材製造
Tokushu Abe Seihanjo

株式会社 特殊阿部製版所

住所
〒135-0023 江東区平野3-8-6
tel
03-3643-5311
fax
03-3643-5314
代表
阿部 義一
URL
https://tokuabe.com

自動車部品も錠剤も。特殊印刷に特化した製版所

紙もしくはそれに類するものに対する印刷を一般印刷と呼ぶのに対し、特殊阿部製版所は主に平らでない面に印刷を施す特殊印刷に特化して版を作る。化粧品の容器、自動車のウィンカーレバー、カメラのダイヤル、錠剤まで、身の周りのあらゆる所に同社の仕事が潜んでいる。

特殊印刷を手掛ける企業の多くは1つの製品群に特化しているが、特殊阿部製版所の場合はホットスタンプ、ドライオフセット印刷、パッド印刷、3種類の印刷版を扱っている。そのため、様々な印刷への対応が可能になった。これはひとえに事業領域が3倍になるという話ではない。発想の転換によって、ある印刷技術を他の製品群に応用し、難易度の高いニーズに応えている。難易度の高いニーズにも応える課題解決力が同社の特徴だ。

印刷精度を高めるために。素材開発からレクチャーまで

例えば一口にパッド印刷と言っても、印刷面の材質や形状は千差万別。相性の良いパッドもそれぞれ異なる。シリコンパッドの研究を重ね、現在では形状400種以上・材質12種類を取り揃えるまでになった。これだけの品揃えは他社でも類を見ない。トライアンドエラーの連続だったというが、すべては印刷の歩留まりを高めたいという課題解決のため。評判が評判を呼び、最近では個別の相談も舞い込んできている。

また、質の良い版を納品すれば必ず印刷の品質が担保されるとは限らない。特殊印刷は多くの場合、メーカーが自社で印刷を行っている。特に工場を海外に置いているメーカーでは印刷の知識を持たないオペレーターも少なくないため、同社は海外のオペレーターに印刷のレクチャーも請け負う。オペレーターの技術が向上すれば、それだけ印刷の精度も上がる。製版の会社ではあるが、そこに留まらず特殊印刷のすべての工程に関わっていく姿勢を見せる。自社について「製版業者」ではなく「特殊製版の技術集団」と称する。

特殊阿部製版所の作る製品自体が私たちの目に触れる機会はまずないが、同社の技術の成果は確実に私たちの生活を豊かなものにしている。「特殊製版の技術集団ですから」と語る口ぶりは誇らしい。今日も製版の傍ら、新しい技術の研究に勤しんでいる。